その人の暮らし方に合ったスケール感を‐Mimasis Design 鈴木義之インタビュー

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House in Kitaichinosawa, Mimasis Design/ミメイシス デザイン Mimasis Design/ミメイシス デザイン Cocinas modernas: Ideas, imágenes y decoración Madera Acabado en madera
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今回ご紹介するのは、建築家の方へのインタビューです。お話をして頂いたのは、建築事務所 Mimasis Design (ミメイシス デザイン) 鈴木義之さん。Mimasis Designでは、住宅やアパートの設計だけでなく、プロダクトのデザインを行うなど、人々の暮らしを形作るものを手掛けています。そんな暮らしをデザインする鈴木さんに、家づくりのこと、その背景にある考え、そして今後のヴィジョンについて語って頂きました。

Q. 早速ですが、鈴木さんが建築に興味をもったきっかけを教えてください。

大学でプロダクトデザインを専攻していたのですが、プロダクトから建築へと次第に興味が広がっていきました。これといったきっかけは覚えていないのですが、人が使う“モノ”の中に“すまい”もあり、ごく自然に導かれていきました。 ご自身や家族にとって、本当に大切にしている価値によって選び抜かれた“モノ”を活かす場所が“イエ”であり、理想とする暮らしの純度を高めてくれる… と考えています。

Q. 家づくりで心がけていることはなんですか?

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“その人の暮らし方に合ったスケール感”をモットーとしています。

住まいは広ければよいというわけではありません。ご自身や家族のライフスタイルを改めて見つめなおし、本当に必要なものや暮らしを選択し、より活用できる場所を集めることによって余分をそぎ落とし、さらにその価値を高めると思います。 ライフステージの変化にも対応していかなくてはなりません。これからの生活をも想像しながら、何を大切にして生きていくかを明確にしていくことが家づくりの基本だと考えます。

Q. 例えば、どの家にそういった考えが表れていますか?

「終の棲家」でしょうか。

そこでは60代の一人暮らしの女性の家づくりをお手伝いしました。その方は、数年前までは現在、海外に住む娘さんと亡くなったご主人と3人暮らし。海外暮らしも長く、それまでお住まいだった広すぎるお宅での暮らしを自分の今のライフスタイルにあった形にしたいというご依頼でした。 

気の合うご近所の方と集うリビングを中心に、一人、物を書いたり読書をしたりする家事室の奥にテーブルだけを設置した書斎スペース、そして、時々、帰国される娘さんがホッとできる和室、スムーズに家事をこなすための導線をコンパクトにまとめたハウスワークスペースを1Fにまとめ、納戸スペースをロフトに設置したプランをご提案しました。今では家族同様にお付き合いされているご友人と団欒されたり、じっくりと一人の時間を過ごされたりと、、、楽しく快適に生活されているとお聞きしています。

Q. 他にも、そういった家はありますか?

「母屋と離れ」もその一つです。

ご両親と同居をされているご夫婦と息子さん3人のご家族がそのお宅の敷地内で3人家族用の離れを新築されたいというご依頼でした。すでに敷地内に奥様がお仕事をされているアトリエ棟を新築しており、限られたスペースの中でプランを進めていくにあたり、改めて3人家族での暮らしを見つめなおし、本当に必要な広さに収めました。

ご友人の訪問が多いとのことでしたが、すでに客室やお客様を応対するスペースはアトリエ棟にあるので、1Fにご夫婦の寝室と水回りとランドリースペースをまとめ、2Fに3人家族が快適に暮らせる適度な広さのリビングダイニングと子供部屋をワンフロアにまとめました。最小限にすることで、自然にご両親の住むお宅やアトリエとの行き来が増え、ご家族のプライベートな空間を確保しながらも、回遊性を高め、既存棟それぞれを活かすことができました。

Q. 何か施主さんとの特別なストーリーはありますか? その事例を教えてください。

プロダクト出身ということもあり、照明やスイッチもデザインして販売しているのですが、そのスイッチを大変気に入ったと丁寧なお手紙を書いてくださったお客様がいました。その方から突然、お電話をいただき、実は住宅会社をされていて、 お話をお聞きする中で、“すまい”や“モノ”に対する考え方に共感する部分が多く、楽しい時間を過ごしました。

そして、話の流れで「一度、設計してみませんか?」ということに。 そこで設計のお手伝いをさせていただいた住宅で大阪ガスアワード2013年の佳作賞をいただきました。わたしとしても理想の住まい方を追求でき、お施主様や住宅会社様や施工会社様とも波長のあった物件だったので、非常に感慨深く、うれしさもひとしおでした。

Q. 今後どのような家を建てていきたいですか?

これからも住む人の価値観やライフスタイルを映し出す「人となり」や、そのモノや場所の持つ魅力を最大限に引き出す「らしさ」を大切に、設計していきたいと思います。

今までの大量にものを消費し、所有していた生活をよしとしていた時代は終わりをつげたように思います。“丁寧に暮らす”ということは自分が大切にしているモノに愛着をもって活用することではないでしょうか。 本当に今の生活に必要なものを見つめなおし、自分らしい暮らしにほどよくフィットさせ、未来のライフスタイルの変化にも柔軟に対応できる可変性を併せ持った家づくりがこれからの暮らしに求められる新しい住まいのかたちだと思います。

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