ちょっぴり閉塞感のある敷地、どんなふうに快適な空間を計画すればいいのでしょう。今回ご紹介するのは回遊性のある旗竿敷地に建つ住宅です。回遊性のメリットで思い浮かぶのは効率のいい導線や、空間の連続性から広がりを感じたりできることでしょうか。旗竿敷地というロケーション、もちろん開放的で広がりある住空間を確保したいものです。アトリエハコ建築設計事務所/ATELIER HAKO ARCHITECTSが手掛けたこちらの住まい、見た目は閉じた箱のようなシンプルなもの。しかし室内に入れば連続する空間が行き止まりのない感覚を味わえる広がりある空間に。回遊性のある住空間から光や風も通り抜けるように、心地のいい住まいが完成しました。
敷地は約25㎡ほどの変形した旗竿地。近隣住宅をぬうようにアプローチする住宅はシンプルな外観に。真っ白な外壁に切妻屋根のような外観は違和感なく周辺に馴染みます。比較的、近隣建物との距離も近いこともあって、外部からの視線が気になるところですが、小上がりの階段でアプローチする住空間は生活目線の異なるちょっぴり安心感が生まれます。
室内は木素材がふんだんに使われた暖かな空間に。様々なカットで組み立てられたような空間はスキップフロアで緩やかに繋ぐ視点の異なる住空間。階段下のデッドスペースを埋めるのはカウンター式の多目的デスク。カウンターデスクの背面にはキッチンが配置されている事から、軽く食事をとるスペースとしても活用。椅子が無くても階段段差に腰を掛ければキッチンで調理している人やデスクに座る家族と会話のできる賑やかな居場所に。
外と内を回遊することができる本住宅。スキップフロアでつながる上下方向をも回遊できる導線は住空間に面白みを生む仕掛けかもしれません。室内に流れ込む風や光も緩やかに濁すことが可能となり、ヒートショックの少ない住空間が期待できそうです。回転式の戸のついた小窓はかわいらしい仕掛けですよね。下階の家族とのコミュニケーションツールでしょうか。どこにいても家族の気配を感じられる住空間です。
シンプルな外観を持った本住宅、夜にはデッキテラスからの明かりがインパクトとなる夕景の外観に。夜でもカーテンいらずの住空間は夜でもデッキスペースをリビングの一部のように過ごすことが可能でしょう。季節によって異なる星空を楽しんだり夕涼みや晩酌など、風や光を愉しむ自然を身近に感じることができそうです。旗竿地という条件ながらも、回遊性のある住空間は快適な住まいを作る大きな効果となったのではないでしょうか。
回遊性については、こちらの記事でも紹介しています。