寄棟屋根のメリット・デメリット

Takashi Sasaki Takashi Sasaki
別府無心庵, 小林英治建築研究所 小林英治建築研究所 Casas clásicas
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寄棟屋根とは4つの屋根面が四方に広がっている形状の屋根のことで、屋根面と屋根面が接する部分である棟が屋根の一番上にでき、これを「大棟」、傾斜している棟を「隅棟」または「下り棟」と言います。方形屋根も似たような形状をしていますが、これは大棟を持っていないことで区別できます。今回は、この寄棟屋根のメリット・デメリットについて詳しく見ていきたいと思います。

メリット1:寄棟屋根が生み出す落ち着きのある外観

寄棟屋根にすることによって、外観に落ち着きのある雰囲気となることは大きな魅力となるでしょう。やはり家に安らぎや安心感といったことを求める方も多いと思いますが、外観においてはこの寄棟屋根が最もそう感じさせてくれる屋根の形状の1つだと思います。どの方向から見てもどっしりとした安定感が感じられますし、どこか懐かしさを感じさせてくれる安心感もあるかもしれません。しかし、決してこの屋根の形は伝統的な和風住宅だけに適しているというわけではなく、海外においても広くこの屋根が古くから使われていますし、デザインによっては現代的でスタイリッシュに見せることもできます。

メリット2:風に強い

台風などの強い風に対して耐久性が高いこともメリットとして挙げられます。片流れ屋根や切妻屋根などでは傾斜している屋根の側面が生まれますが、寄棟屋根は4方向に広がる屋根面がしっかりと閉じながら、どの方向からの風に対しても受け流せる形状をしています。また、寄棟屋根は、雨や雪も4方向に分けて受けてくれるため、1つの屋根面や雨どいに流れる雨量が少なくなり、また屋根から落ちる雪の量も分散してくれます。

メリット3:全方向の外壁を守る

屋根の役割には当然雨や風、太陽の光から住まいを守ることがありますが、その役割を最も果たしてくれる屋根が寄棟屋根でもあります。切妻屋根などでは軒のない側面が生まれ、その外壁は雨や太陽の光が当たりやすくなります。しかし、寄棟屋根であれば4方向全てに軒があることから、自然と全ての外壁が雨や光に当たりにくくなります。外壁については、「外壁材を選ぶ前に知っておきたい6つのポイント」も是非参考にしてみて下さい。

デメリット1:コスト面

ここからは寄棟屋根のデメリットについて見ていきましょう。まず最初に挙げられるのがコスト面です。4つの屋根面がつながり合うことで、斜めの部材が多く、棟や雨どいも他の屋根形状と比べて長くなるといったコストアップの要因があります。また、切妻屋根などと比べると複雑な形状であることから工期も長くなることもコスト面で不利となることにつながっています。しかし、外壁面が比較的小さくなることから、外壁工事のコストは抑えられるため、全体的な判断をしていくといいでしょう。

デメリット2:太陽光発電導入には寄棟屋根は不利

近年は自宅の屋根に太陽光パネルを設置することも珍しくなくなってきましたが、太陽光発電の導入にあたってはあまり有利な屋根形状とは言えません。屋根面全てが比較的小さく、またサイドは斜めになっていることから、1つの屋根面に設置できる太陽光パネルが限られてしまいます。もちろん、4面あることで必ず発電効率の高い南面が確保できるという利点はありますが、より多くの電力を発電していくには南面だけでなく、東西面にもパネルを設置することが必要となるでしょう。

デメリット3:屋根裏が小さい

屋根の裏側である、いわゆる屋根裏にあまり大きなスペースが確保できないこともデメリットとして挙げられるでしょう。屋根裏を収納スペースとして考えていたり、居室として利用したい場合は、あまり大きな空間にならないことを念頭に置いておきましょう。そうしたことから、屋根裏をそこだけで利用するのではなく、天井を張らずに下の階とつなげるなどして大きな空間を生み出すような使い方をすることも考えてみて下さい。

【屋根については、こちらの記事でも紹介しています】

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