インテリアデザインにお気に入りの本の世界観を取り入れる

林 直樹 林 直樹
Entrance Hall , Studio Hooton Studio Hooton Pasillos, vestíbulos y escaleras modernos
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あらゆるクリエイティブワークにおいて、小説などの物語の世界観は参考にされてきました。ファッションで古典文学を引用したり、近代文学を参考にした絵画であったり。インテリアデザインでも同じことができるのではないでしょうか?物語の中で詳細にインテリアについて描写しているシーンがあるとは限りませんが、しかし文体から感じる息遣いを空間に反映させることはできそうです。そこで本記事では、世界的に認知されている書籍からインスピレーションを受けたインテリアデザインについてご紹介します。

「存在の耐えられない軽さ」

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「存在の耐えられない軽さ」はミラン・クンデラが1984年に発表した、プラハの春に基づいた小説です。様々な言語に翻訳され、日本では映画にもなりました。男女の三角関係を描く1960年代のプラハの住宅インテリアは、自由奔放な恋愛の場所でありましたが、同時にどこか少し鬱蒼とした気分を感じさせます。インテリアのトーンは少しダークで、落ち着きがありますが、どこか少しラフな印象が小説の世界観にマッチします。東欧の美しい街並みに比べて、少し影を感じるインテリアが、20世紀半ばの時代感を反映しています。

「海辺のカフカ」

「海辺のカフカ」は多くの方がご存知かと思いますが、村上春樹を世界的に有名な小説家に押し上げた長編小説です。2002年に発行されたこの小説では、東京と四国の二つの場所が登場します。その中でも特徴的なのが主人公が居候をする図書館。この物語の描写をインテリアに取り入れるには、やはり本を読む空間、くつろぎ、落ち着ける空間がいいのではないでしょうか。少しラフな雰囲気の部屋にゆっくりと読書ができるソファ。それとじっくり勉強したいときに使える安定感のあるデスクとチェアーは海辺のカフカの世界観を彷彿させてくれます。写真はHOUSETRAD CO.,LTDの90平米のワンルーム。

「わたしの名は『紅』」

この小説は1998年にトルコの作家 オルハン・パムクによって書かれた小説です。現代トルコ文学の第一人者である彼は2006年にノーベル文学賞を受賞しました。この本では16世紀末のトルコが描かれていますが、繁栄を極めたのちに、頽廃に向かう時代が描かれています。インテリアとしては、豪華絢爛な中東建築ではなく、中東のエッセンスを踏まえた素朴な印象を彷彿とさせてくれます。それは、文化や宗教の衝突と共存をテーマとしたこの本ならではの、中東のデザインパターンを欧米のモダンデザインに取り込んだミックススタイルがぴったりと言えるでしょう。

「雪」

この本はフランスの作家、マクサンス・フェルミーヌによって書かれた、日本を主題とした小説です。この小説で描かれるのは、日本らしい日本の世界である「晴れと褻」であったり「陰影」であったり「豊かな自然」です。それはつまり日本の近代の家のコンセプトそのものであり、庭を自然に見立てたりするような考えと同一視することができるのではないでしょうか。インテリアとしては、日本らしさを追求する中庭であったり縁側などを上手に生かすことが、この小説の世界観に合いそうです。他の和風庭園はこちらから。

「風の影」

風の影はスペインの小説家カルロス・ルイス・サフォンによって2001年に発表された小説です。舞台はスペインの古書店を営む父に連れられて訪れた<忘れられた本の墓場>で、ここで見つけた本「風の影」が、本のタイトルになっています。この物語は、主人公の成長や冒険が描かれるという爽やかなものなので、インテリアとしては、本のタイトル通り風を感じさせる爽やかな印象がマッチするのではないでしょうか。冒険を通じて成長していく主人公と、住み続けることに成長していく家を重ねてみるてはいかがでしょう。

「グレード・ギャッツビー」

2013年に映画化され、ご存知の方も多いかと思いますが、F・スコット・フィッツジェラルドの名作である本書は、現在アメリカ文学を代表する作品と言われています。なんといってもこの小説の中で印象的なのは、豪華絢爛なパーティー。その印象を現代風に解釈すると、端正な作りでありながら、どこかしっとりとした重厚感を感じさせるインテリアではないでしょうか。全体的には落ち着いた色合いで、ホームパーティーをするのに最適な印象が、まさにこの本の世界観とマッチします。

本の世界ではなくて、本自体のデコレーションはこちらが参考になります。

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