今回ご紹介するのはDEN NEN ARCHITECTUREが手掛けた工場地帯に位置する住まい。クライアントが基本的に窓を開けない生活を希望したため、中庭、全館空調機など、窓を開けずとも外部空間を感じ取れ、快適に過ごせるような工夫がなされています。またクライアントは40代夫婦で、こちらは、おそらく「終の棲家」となる住まい。生涯を過ごす空間として、二人の想い、こだわりが詰まった住宅となりました。では早速見て行きましょう。
キューブが積み重なったようなミニマルでモダン、どこかバウハウス的ともいえる外観が印象的です。ご紹介した通り、敷地は工場地帯に位置しているため、外壁の白い部分は汚れ防止のため光触媒塗装で仕上げられています。そして、ウレタン塗装を吹き付けた部分が真っ白な部分とコントラストを成しています。この仕上げの違いは、後々ウレタン塗装部分に班が出るように故意に成されたもので、「綺麗につくりあげるだけで建築は美しくならないと思う。」という建築家の思いが込められています。完ぺきではない箇所や自然そのままの素材と対比させることで、際立ったり、再発見される美しさ、そのような美によって深みのある空間が実現されるのです。
大きな窓から漏れる光と間接照明によるライトアップが印象的な夕景。静かで凛とした佇まいですね。右手奥に玄関部分への入口が配置されています。外に閉じている分、内部には3つもの中庭が配置され、外部空間とのつながりを感じることができるようになっています。
ダイニングスペースから中庭方向を望んだ様子です。室内は床から天井、キッチンに至るまで白でまとめられ、シンプルでモダンな雰囲気が漂います。窓は基本的にはめ殺しのものが使用されており、外の景色が切り取った絵のように映ります。無駄のない透明感ある空間ですね。また床からの間接照明も幻想的な雰囲気を演出しています。
こちらはリビング空間から中庭方向を望んだ様子です。ガラス張りに面した中庭の効果で、まるで空間が外部へと連続しているかのようです。キッチンから連続する壁面収納のバックに張られたたウォールナットの源平柄のパネルが真っ白の空間にナチュラルで温かみのあるアクセントを加えています。
寝室も中庭に面しています。シンプルでコンパクトにまとめられた空間ですが、ここも外へのつながりを感じることができる開放的な空間です。また、ベッド脇の間接照明が空間に柔らかな光をもたらしています。