漆喰の魅力をじわりと感じる家

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土佐漆喰の家, 大森建築設計室 大森建築設計室 Casas eclécticas
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世の中には安くて、早くて、お得な製品で溢れていますよね。でも、高価になりがちですが時間をかけて丁寧な工程を経た製品は見た目にも品質にも味わいあるいいものが生まれる物です。家づくりに当てはめてみるとお施主さんでも家づくりに参加して、その住まいを味わいあるものへと造り上げる事も可能かもしれません。そこで今回ご紹介するのは、陶芸家の為の小さな土佐漆喰を使った住宅です。大森建築設計室が手掛けた本住宅は、土に馴染んだ陶芸家の住まいらしく建物自体を土佐の漆喰で仕上げるというもの。もちろんその左官工事に携わったのは陶芸家のお施主さんご本人。ざっくりと大胆な塗り仕上げも、それは家に住まうものの愛情ある仕上げとなり、味わい深いものとなりました。

自然に溶け込むような外観

緑深い開けた場所に建つ本住宅。その外観は白い塗り壁と、上方に向かってすぼむ建物の形状が個性的な出で立ちです。木々の中にポツンと建つ敷地環境はなんだかヨーロッパの田舎風といった風貌。一度見たら忘れないような、それでいて自然に溶け込むような無理なく、柔らかい雰囲気を持っています。

Foto:森武史氏

滑らかな玄関アプローチ

南側から見た住宅外観。近寄ってみて気が付くのは、建物の角が丸みを帯びている事です。そして玄関アプローチを進むと建物に奥まった位置に玄関扉が。そんなアプローチにも丸みのついた入口は建物全体に柔らかさと親近感の持てる佇まいを演出しているかのようです。玄関以外に目立った開口が無くても、その塗り壁の表情を楽しみながら室内へと足を運ぶことができます。玄関前までつくと、その扉は家具作家が製作したというお施主さんが持っていた無垢板の扉なんだそう。あるものを活かし、住まいに取り入れていくアイデアの一つですね。

重厚感ある質感

少しそのお施主さん自らが塗った外壁にズームしてみましょう。何とも重厚感と土の素材感ある仕上がり。左官職人に言わせたらなんというのか予測は立ちませんが、今回は滑らかに仕上げる事が完成ではないようです。そう、住み手の感覚が形となる事が完成となるのかもしれません。古めかしさを感じる深く大胆な仕上がりはその陰影を楽しむことが出来ます。

庭を静かに眺めるリビング

リビングから眺めるのは太陽の陽が落ちる緑あふれる庭。灯りのついていない室内と室外の明るさのコントラストが強調されリビングには静寂のある空間が広がるようです。ちょっと外に出るには暑い日、リビングから眺める庭は照りつける太陽が木の葉にあたって気持ちのいい風景を眺めれば、ゆったりと寛げる場所です。

漆喰と無垢板の温もり

玄関土間から見るリビング。室内も外壁と同様に土佐漆喰塗りの暖かな雰囲気に包まれています。床や階段は無垢の厚板で仕上げられていて、空間全体をナチュラルで自然素材の溢れる気持ちのいい空間。中心を陣取るのは薪ストーブ。燃える火に猫や人や植物までもが集まってくるような、そんな和やかな雰囲気を感じます。

展示の出来る階段スペース

お施主さんの陶芸作品が展示できるようにと幅広く設けられた階段スペース。玄関から一室で繋がる階段、リビング空間はちょっとしたギャラリーのような機能も持っています。階段廻りに見られる壁や天井の丸みを帯びた塗り仕上げは、人の手で作られたその温もりが転写されたように、見た目からもあふれ出てきます。安くて早くてお得な物には到底表現できないものがそこには詰まっています。人が住まう家として、味わい深い温かな好事例となる家のカタチといえるかもしれませんね。

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