鉄骨造とは住まいの構造として選ばれることが木造や鉄筋コンクリート造に比べて少ないようですが、そもそも鉄骨造とはどのような魅力があるのかあまり広く認識されていないことが理由の1つかもしれません。そこで今回は、鉄骨造とは何かについて知ってもらうために、そのメリット・デメリットについて紹介していきながら、鉄骨構造の耐震性と耐火性といった性能面についても詳しく見ていきたいと思います。それぞれの構造の特徴をよく理解し、あなたの好みや家づくりに一番合っているものを選んでいきましょう!
鉄骨造とは何か、その魅力としてまず挙げられるのが、まずそのシャープで軽やかなデザイン性でしょう。鉄筋コンクリート造のようにどっしりとした重厚なものではなく、また木造の和やかな雰囲気とも異なり、鉄骨構造独特の印象を生み出してくれます。耐力壁を必要としない柱と梁だけの躯体で構成することができるので、開口部分もより自由に大きく開けることができ、また細い部材でも十分に荷重を支えることができるため、開放感とともに軽やかなデザインの住まいとすることができます。
写真:三好芳昭
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間取りの自由度の高さも鉄骨構造の大きなメリットとなります。先程述べたように、柱と梁だけで躯体を構成することができるため、壁で荷重を支える耐力壁を必要としないことから、部屋の大きさや窓の開け方などをより自由に決めていくことができます。特に、部材の厚さ6㎜以上の重量鉄骨の場合は筋交いも必要とせず柱間の距離をより大きくとることができるため、鉄骨造とは柱のない大きな空間を実現しやすい構造となります。
写真:Hiroyuki Hirai
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耐力壁のない間取りの自由度が高い構造であるということは、リフォームやリノベーションがしやすい建物であるとも言えます。壁で2つに仕切られていた部屋を1つの大きな部屋にしたり、クローズドキッチンの周囲の壁を取り除いてオープンキッチンとするような間取り変更もできる可能性が高くなります。将来的に家族の成長に合わせて間取りの変更を含めたリフォームやリノベーションを考えている方にはおすすめの構造です。
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柱と梁だけで成り立つ構造であることで、壁は空間を仕切るだけの薄いものとなります。それによって、断熱性が低くなってしまいますので、しっかりとした断熱対策が必要となります。また、断熱性が低いことによって、結露の心配も出てきます。結露については、「防湿のしっかりした結露しない快適な住まいに!結露対策について知っておきたい6つのこと」も是非参考にしてみて下さい。また、壁が薄いことで音が漏れやすくなることもデメリットとなります。
鉄骨造は地震に強いというイメージを持っている方も多いと思いますが、どの構造でも大地震に遭っても倒壊することのない耐震性能が現在の建築基準法では求められます。しかし、その中では建物が損傷することは許容範囲となっています。そうした意味では、鉄骨構造は部材が折れるといった損傷を受けにくい構造と言えるでしょう。ただし、組み立て作業による施工の早い部材の厚さが6㎜以下の軽量鉄骨では、部材と部材の接続部分の強度がしっかりとしているかの確認をしてみるとより安心でしょう。
鉄は木のように燃えないことから、鉄骨造は火事に強いというイメージがあるかもしれません。しかし、住宅火災では建物自体が燃えるよりも、家財が燃えることによって被害が広がることが多いことから、鉄骨構造だからといって過信してはいけません。また、鉄は燃えることはありませんが、一定の温度に熱せられると急激に強度が落ち、グニャっと変形してしまう欠点があります。もちろん、実際にはそうならないように鉄骨を耐火被覆で覆うことで、部材の強度が火災時でも一定時間保てるように施されます。
鉄骨造と鉄筋コンクリートの違いは、まず鉄骨構造とは骨組に鉄骨を使った建築物でありS造と呼ばれます。一方、鉄筋コンクリートはコンクリートに鉄筋を埋め込んだ構造でRC造と呼ばれます。鉄骨造は鉄筋コンクリートより軽いので超高層マンションにもよく用いられる工法です。