今日紹介するのは豊かな緑が残る山の斜面の造成地に建てられたローコストな二世帯住宅です。隣家に対してのプライバシーの配慮、眺望の確保といった要点を抑えつつこの敷地の特性を活かした住まいづくりがクライアントから望まれました。さらに巨匠ル・コルビジェの住宅のようなデザインにして欲しいという要望に応えるべく、小島真知建築都市設計事務所 / MASATOMO_KOJIMA_AUDSが手がけた二世帯住宅、さっそく見てみましょう。
横長連続窓が印象的ですね。これはル・コルビジェの提唱する近代建築5原則のひとつ「水平連続窓」に則っています。一般的な概念では窓は居室の一部分ですが、複数の居室にまたがって設けてあるため、どちらかというと居室を束ねているといったほうがいいかもしれません。同時に駆体から独立して外側に設置しているため自由な間取りを可能にし、結果として連続した景色が眺められるようになっています。
1階に親世帯と共有の水回り、2、3階は子世帯を配置しました。中央にオープンな階段とキッチンを設置しています。一体感のある開放的な空間に回遊性に富んだ動線を盛り込んでいます。
ミニマルなキッチンです。壁に開口を設けることで、階段を隔てて水平連続窓を通して東側の景色を眺めることができ、十分な採光も確保できます。ローコストには見えないくらいお洒落なキッチンですね。二世帯住宅なので、景色を眺めながら一緒に料理をしたり食卓を囲むのも楽しいですね。
白いフレームが軽やかな印象の階段です。不規則なデザインが 不思議と空間全体で溶け合い、同時に空間の定義を制限することなく、好きなところに机を置いたり、手の届くところに本棚を設けたりしています。ローコストを目指したシンプルなインテリアです。
水平の連続窓を駆体の外側に設置しているので景色は連続していますが、柱や筋交いが織り成す幾何学的なパターンを通して見ることで、角度によっては景色が切り取られたり繋がったりと変化に富んだ眺望が望めます。
耐火上の法規として柱や梁、筋交いの構造エレメントは石膏ボードで覆われており、壁と一体化しています。つまり開口部は内側からはいくつもの穴が穿たれているように見えますが、外から見ると連続した窓として認識され、内外の異なる表情を生み出しています。
この家の様々な形態及び位置に設けられた窓は隣家のそれとの兼ね合いや眺望を考慮してそれらに生活の場を対応させるように綿密に設計されました。外の風景が窓や柱に切り取られて絵のように空間の一部になっていますね。
周辺環境と対話をしながら、自由で変化のあるライフスタイルが体現できるいわば二元的な性質をもった二世帯住宅と言えるでしょう。
建築家曰く「乱雑な日常生活に馴染む不規則なデザイン」がこの家の特徴で、多種多様なモノで溢れていく日常生活にそういった規則性のないように見えるデザインが馴染むと考えたそうです。真っ白に統一した内部空間は住む人の生活を支持する技術的な必要条件を満たしつつ、ポエティックな時間の流れを体験させてくれそうです。
二世帯住宅については、こちらの記事でも紹介しています。
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